
オーナー 肌野薫
愛知県名古屋市出身
三児の母
トリマー
ドッグトレーナー
保有資格:
一般社団法人 国際ペットビジネス協会トリマー2級
JDBA認定ドッグトレーナー
オーナー肌野薫さんインタビュー
この道に入ったきっかけ
私はトリマーでありドッグトレーナーです。そしてトリマーになったことからスタートします。
子供の頃からの夢だった、みたいに、学校卒業後に専門学校に行ってトリマーになったわけではないんです。社会人になってから、確か30歳くらいの頃にトリマーになりました。
トリマーになったきっかけは、当時ホームセンターのペットショップで働いていたんですけど、そのお店はトリミングの予約がすごく多かったんですね。
だから毎月予約がすぐ埋まってしまって、予約を受けられない犬がたくさんいました。「だったらじゃあ私がトリマーになれば、もっと予約を受けられるようになるよね」と思ってトリマーになりました。
それから引っ越しのタイミングもあって、トリマーの仕事をするなら動物病院でやりたいと思って、病院に就職しました。
動物病院でやりたいと思ったのは、ホームセンターのペットショップでトリミングで預けられる犬たちが、状態が悪い犬が結構多かったからです。皮膚が赤かったり、悪かったり、爪が刺さってたり、とか。
そういう犬たちをペットショップではカバーできないんですよね。私自身、知識もなかったし、なぜこんなに状態が悪いのか分からなかったので、動物病院のトリマーになれば分かるようになるかもしれないと思いました。

動物病院に転職したのと同じタイミングで、愛犬の八房(やつふさ)を迎えました。
実は私は犬を飼ったことがなく、八房が初めての犬なんです。それまでずっと賃貸に住んでいたので、犬が飼えなくて。
初めての犬ということもあって、「犬とはこういうもの」と思って飼い始めたんですけど、身体は大きいし、引っ張られるし、他の犬に飛びつくし、全然コントロールができなくて、想像していたよりも大変だったんですね。
そして八房をどうにかしたいと思って、そこからトレーニングジプシーの旅が始まります(笑)
色んなトレーナーさんのところに行って、色んなトレーニングを試しました。
スリップリードもチョークチェーンもプロングカラーも使いました。特にジャークという手法を使うところでは、訓練士の先生が娘にもやり方を教えてくれたんです。
で、ある時気づいたら、娘が自然と流れるように八房に対してジャークしていて、それを見た時、私はとんでもないことを子供にやらせてしまったとショックを受けました。
元々私も力がなくて、ジャークはできていなかったんですが、それでも必要だと言われて、何度も八房に対して首にショックを入れる練習をしてたんですね。
でもやっぱり自分の子がやってるの見たら、これは絶対違うなと。悪気なく暴力を教えてしまったなと。それからジャークは一切辞めました。
全然解決しないうちに、八房の行動がどんどん激しくなっていきました。



そうしてようやく田中雅織先生の「Doggy Station」にたどり着きました。
トレーニングジプシーしているとき、トレーナーさんたちに色々なことを言われました。「トレーニングのセンスがないよ」とも言われました。私のセンスがなさすぎて、全然できていないって。
でもドギステを観て、先生の言葉ひとつひとつが全部腑に落ちて、「この先生に八房を見てもらいたい!」って思って、セミナーに参加しました。
そしたら、他のトレーナーさんからは聞いたたことがない言葉がたくさん出てきて、「そういうことか!」って初めて納得できたんです。
そして「私がトレーナーになれば、八房のトレーニングができるようになるから、てっとり早いじゃん」という結論に至りました。そしてプロになる気はまったくない、軽い気持ちで、JDBAのトレーナーコースに応募しまして、見事落ちました(笑)

そんな、コースに落ちてすぐの頃、動物病院でトリミングをしていた犬が心肺停止になったんですね。
田中先生のセミナーにも参加し、ドギステでも勉強していたので、その犬が来院したときから、呼吸は粗いし、パンティングも激しいし、ストレス状態なのはわかっていたんです。
だから周りにも作業をしていいか確認したのですが、作業してOKと。それで作業を始めたものの、犬の舌がどんどん紫色になっていくのを見て、作業を中止しました。
そして飼い主さんに「もうこれ以上はできません」と電話して、犬を犬舎で休ませていたんです。そしたら心肺停止状態になってしまって。
慌てて心肺蘇生して、一命は取り留めることはできましたが、そのことがあって、「八房をどうにかしたいからトレーナーになる」とか言っている場合じゃない、これはもっと大きなことだ、もっと真剣にやらないといけないと思いました。
トリマーは犬のカットしかやっていないので、犬の状態、ボディランゲージをまったく知らない人が多いです。トリマーという仕事に、トレーナーとしての知識が不可欠だと強く感じました。
そして次の期のトレーナーコースに無事受かり、認定ドッグトレーナーになりました。

屋号『O Captain』の由来は?
「いまを生きる」という映画からつけました。
全寮制の男子高が舞台で、先生たちはみんな、伝統を重んじて、生徒たちを名門大学に行かせるために厳しくしているんです。
そんな中、ロビン・ウィリアムズが演じるジョン・キーティングという先生は、生徒の個々の特徴を捉えて、そこを伸ばしていくという教育をしていたんですね。
生徒たちから慕われていたMr.キーティングは、映画の最後に学校を去るのですが、生徒たちに「O Captain!my Captain!」と言われながらお別れするんです。
私自身がそんなMr.キーティングみたいな先生になりたいし、飼い主さんにもそういう人になってほしい、両方の想いがあって、屋号にしました。

自分を一言で言うならどんなトリマー?ドッグトレーナー?
犬に絶対的な安心感を与えられるトリマー、ドッグトレーナーになりたい。まだ始まったばかりなので、そういう存在になりたい、という回答で(笑)

理想の犬との暮らしは?
八房、結構敏感なんですよ、物音とか。
でもそういう、犬の苦手とか、ちゃんと理解して向き合って付き合っていけば、苦手なものがあってもそんなに困らない。
愛犬と向き合っていく。のんびりと楽しく、そして何事も。そんな風に暮らしていけたらいいなと思います。
ほら、見つめ合うとオキシトシンが出るじゃないですか。ずーっとオキシトシンがでるような生活をしたい(笑)

今後やりたいこと、目指していることは?
人に任せるだけでなく、飼い主さんが家で自分で愛犬のケアができるように、飼い主さんにトリミングの方法を教えていきたいと思っています。
老犬とかになったときに、人に預けられたり、飼い主さんから離れたりするよりも、飼い主さんが最後まで自分でお手入れができるように、技術と知識を持っていただけるのが、犬にとって一番いいと考えています。
あとホームページにも載せてあるのですが、「おけいこクラス」というドッグトレーニングのコースを設けています。
「大人も子供も習い事をするように、もっと犬のことに関わってほしい」「気軽に、習い事感覚で、犬と向き合う時間を作ってほしい」そう思って作りました。
あとはもっと子供たちにも、犬との正しい関わり方を伝えていきたい。
親子教室みたいな感じで、犬のことや、犬とどう触れ合ったらいいのか、犬のボディランゲージを子供にも知ってもらいたいと思っています。
犬に子供が「わ~可愛い!」と近付いていって、噛まれる、というような、犬と子供の両方が悲しい思いをすることがないように、小さい世代から伝えていきたいと思っています。
家の中で起きる、犬と子供の信頼関係が崩れてしまうことってよくありますよね。例えば子供には噛むとか吠えるとか。田中先生が教える方法は力を使わないから、理論がわかれば子供だってできるじゃないですか。そういうのを解消していきたいです。