
forestrip管理人 吉田聡子
山口県出身
愛犬はカイとつき。
カイは生後間もなく道の駅で捨てられていたところを保護。その後、お散歩ボランティアとして群馬県動物愛護センターに通う中、この子ならカイと合いそうと思い、つきを迎えた。
FORESTRIPはどんなと ころ?
群馬県桐生市の市街地から車で20分くらいのところにあります。
山のほうに向かっていくんですけど、途中でどんどん民家が少なくなって、いきなり家がなくなります。
携帯電話の電波も入らなくなって、車がすれ違えないほど道が細くなって、初めて来る人は不安になって「・・もう無理」と一回引き返してしまう感じです(笑)
民家がなくなってから、FORESTRIPまでは5分くらいの距離なんですけど、急に山が深くなるので、到着されると皆さん、「・・ホントにあったぁ!!」みたいな(笑)
事前にお問合せしてくださる方には「必ずあるので、諦めずに道を進んでください」とお伝えしています(笑)
施設の近くには川が流れているので、川のせせらぎが聞こえて、あとは鳥の声もしています。
ちょっと暗い道を進んできて、急にぽっかりと開けて、そこにあるので、秘密基地みたいな、そんな感じですね。
森の中で時間を忘れて、犬と人とがゆっくりできる場所を提供したいという気持ちでやっています。
ドッグパークは二面あります。大きい方は500平米ほど、小さい方はその半分くらいですね。
週末は事前予約による貸切制です。完全入れ替えなので、お友達同士で使っていただいたり、ご家族だけで使っていただいたりしています。


FORESTRIPを作った経緯
静岡県掛川市に住んでいた頃、一頭目のカイを迎えました。
そして自宅の近くのドッグランに通い始めました。
そこは空いていて、広くて、自然の中にあるドッグランでした。そこでカイが全力で走る姿を見るのが好きでした。
先輩の飼い主さんたちとの交流もあって、得られることが大きくて、面白くて、それは私にとって初めての体験でした。
実家でも犬は飼っていましたが、カイは初めて自分で迎えた犬でした。
右往左往しながらの犬育てだったのですが、先輩飼い主さんたちから色々と学べることがあって、「ドッグランって犬を遊ばせるだけじゃなくて、学びの場所でもあるんだなぁ」と感じました。
と同時に、もっと飼い主が犬について、気軽に知識を得られる機会があればいいのにと思いました。
ドッグランに通う中で、段々と「ここはこうした方が安全なのではないか」「私だったらこうするのになぁ〜」と思うことが増えました。
そして「自分でこんな場所が作れたらどんなにいいだろう。もし私がドッグランをやるなら、プロのトレーナーさんを呼んで勉強会みたいなことをしてみたい」と野望を抱くようになりました。
ですが、当時は実現できるだけの余裕がありませんでした。
それから主人と移住について考えるようになり、主人の実家がある群馬県で移住先を探し始めました。
群馬県桐生市は移住支援に結構取り組んでいて、空き家の物件数が多いんですね。で、空き家バンクで、いまFORESTRIPがあるこの場所を見つけました。
ちなみに見つけたその物件は、あきらかに他の空き家とは違っていました。「携帯入りません。水道は引かれていません。要注意」みたいなことがいっぱい赤字で書かれていて。
「なんだ、ここは?!」と思ったんですけど、掲載されている写真を見て、おもしろそうな場所だったので、ワクワクしてしまったんですよ。


とりあえず一回見てみようということになり、主人と一緒に現地に行きました。
そして初めて見に行ったとき、「これはイケる!!」と謎の自信が沸き上がってきまして(笑)
「ここでやりたい!」って思って、決めました。いま考えると、よく主人が許してくれたなと思います(笑)
オープンするまでは、9ヶ月くらいかかりました。
木を切って、壮絶な量の片付けをして、最初はとにかくずっと掃除ばかりしていました。
何年も人が入っていなかった場所だったので落ち葉はすごいし、いまお茶を飲んだりするところはゴミ溜めだったし、とにかくすごく大変でした(笑)
終わりが見えない片付けの日々に、不安になったこともありますが、ひたすら掃除と片付けを続けました。
オープン当初は近くの集落の方がちょこちょこ来てくれて、お客さんはほんの数えるほどでした。
桐生市の方って自営業をされていることが多いんです。そんな先輩方から「集客のためにSNSをやったほうがいいよ」とアドバイスをもらって、Instagramを始めました。
Instagramを始めてから、来てくださる方が少しずつ増えていって、お客さんが定着していったという感じです。
『FORESTRIP』の由来は?
FORESTとTRIPをくっつけた言葉です。
森の中に小さな旅をするような気分で、日常から離れてリフレッシュしに来てほしいなという思いを込めました。
携帯電話の電波は入らないし、ここまで来る道も非日常感があるし、日常の喧騒から離れて、自然の中で少しゆっくりしてほしいなと思います。
いまとなっては、たどり着くまでの5分の道は「下界から切り離される、日常から離れるための道」という感じになりました。
鹿とかも飛んで出てくるような道なので(笑)普段街に住んでいる人にとっては、すごく非日常的ですよね(笑)
帰りも「鹿に気を付けてね~!」と見送っています(笑)

犬と飼い主のためのセミナー
ドッグビヘイビアリスト田中先生を知る少し前の時期、私はトレーニングで行き詰まっていました。
というのも、カイが、移住後の新しい環境に馴染むことができなかったんです。
ここは自然が大変豊かです。
だから日常的に聞こえる猟犬や山の動物の声、匂い、屋根裏にいる動物の物音などが、音に敏感なカイにとってはストレスになってしまいました。
鹿が鳴けば夜中でも飛び起きて激しく吠えました。ぐっすり眠れる日は稀で、常に興奮が高く、散歩もままならない毎日でした。
どうして良いか分からず途方に暮れ、すがるように近くの訓練所を訪ねました。
そして訓練士から言われたのは
「あなたは犬を殴れますか?」
出てきたのはチョークチェーンとプロングカラーでした。
確かにそれを付けたら、散歩中カイは引っ張らなくなりました。
ですが、それをカイに付けるのが私は嫌で嫌で、「一生この拷問みたいな首輪を付けなきゃいけないのか」と泣きながら散歩していたのを覚えています。
他にも複数の訓練士やドッグトレーナーの方に教わりましたが、どれも体罰、嫌悪罰を使うものばかりで関係性は良くならず、カイには怖い思いをさせて続けていました。
だから犬との暮らしが全然楽しくありませんでした。


犬を愛しているのに、「なんでこんなに怒らないといけないんだろう」「なんでこんなに犬の首を絞めないといけないんだろう」「こんなやり方しかないのかな」とずっと思っていました。
そんな折、ひとりのお客様から「おもしろい人がいるよ」と教えてもらったのが、田中先生でした。
ホームページを見て「私が探していたのはこれだ」と思いました。
服従から協調へ。「・・あぁ。そうだよね」と思いました。
そしてぜひセミナーを開催したいと思いました。
実は私、うちでセミナーを開催する前に、待ちきれなくて別の会場のセミナーを受けに行ったんですよ。
そのセミナーで「ベーストレーニング」を知り、見よう見まねで始めてからのカイの変化は 目まぐるしいものがありました。
初めて見るいきいきとした表情。
「学ぶことが楽しい!」というような姿に衝撃を受けました。
そして自分のやってきた事はどれだけ愚かだったのか、何をしても償えない、と思いました。どん底、いやもう、ズンドコまで落ちました。
それからはカイとの関係性は確実に良くなり、カイとの「絆」をしっかりと、感じられるようになりました。
うちでセミナーを開催するにあたり、不安は大きかったです。
参加費は安くはないし、この辺りではまだ訓練系のトレーニングが主流でしたし、行動学なんて一切聞かなかったので。皆さんに受け入れられるのだろうかと本当に不安でした。
田中先生のことを教えてくれたお客様に勇気づけられながら、無事に満席となり、開催することができました。


ドッグパークに来てくださるお客様とは、犬とのことで共に悩み、相談し合える仲間という感じです。
犬のことでこじらせている人もいます。でもこじらせているほど、自分の経験から私はその人の気持ちがわかります。
「こんなことがあったんだよ」「そっか、がんばっていこう!」とお互いに奮い立たせながら、犬と暮らすことを一緒に前向きに捉えながら歩いて行ける仲間、だと思っています。
ここは来てくださっているお客様ありきなので、本当にありがたいです。
私の運営の仕方を理解して、みなさん、来てくださっている。
セミナーにも参加してくださって、「みんなで頑張ろ!」という流れになっているので、それが本当にありがたいですね。


私は「管理人」としてドッグパークにいますが、ドッグパークが明るく楽しい雰囲気であることを心掛けています。
犬がいるから自然と笑顔になってはしまうんですけど、お客様には「ホント明るくていいよね」って言われることが多いです。
私がそうやって、全力で楽しんで、明るくしていることで、みなさんにも楽しく過ごしていただけたらなと思っています。
また、かつての私のように、犬のトレーニングで違和感を感じている人はたくさんいると思います。
だから発信しつづけることが大事だと思って、Instagramを続けています。
田中先生から学んだこと、それは他人に「あーしろ」「こーしろ」と言わないこと。
私も同じようにやっていきたいと思いました。
もちろん同じようにトレーニングを受けていて、仲間同士だったら、お互い意見を言い合ったりしますけどね。
あと「自分の頭で考える」「工夫する」「まずやってみる」ということ。
大人になってからすっかり忘れてしまっていたことでした。
これを意識するようになって、愛犬たちとの関係が変わりました。
前は辛いことが多かったけれど、いまは楽しく、そして楽な関係を築けています。
こういったことも含めて、発信し続けることで、いつかどこかの誰かの心に引っ掛かってくれる。
そう信じて、コツコツやっていこうと思います。

理想の犬との暮らしは?
犬の目線に立つことで、犬のことがわかるようになりました。
「なんでこのコは●●なんだろう?!」と思わなくなったので、すごく楽になりました。悩みが減ったんです。
悩みを抱えている飼い主さんがたくさんいると思うので、犬の目線に立つということをちょっと考えることができたら、悩みも減っていくんじゃないかと。
そうしたら、理想の犬との暮らしに近付いていけるんじゃないかなと思います。


今後やりたいこと、目指していることは?
田中先生からの卒業ですね(笑)
田中先生がいなくても、みんなが犬と楽しく暮らせるようにしたい。
うちの出入り業者(笑)のドッグトレーナー飯塚さんにセミナーをやってもらってもいいと思いますし、グループレッスンをやったりしてみたいなとも思いますし。
いまセミナーに続けて参加してくださっている人たちは、どんどんパワーアップしているんですよね。
そしてそんな人たちが、さらに周りの人たちをグングン引き寄せていて、すごく心強いです。
そういった方々と北関東を盛り上げていきたいなと思います。
ここら辺って、犬と暮らすにはいい環境なんですよ。大型犬を飼っている人も多いし、自宅にドッグランを作ったという人も結構います。
そんな環境なので、そこに犬の正しい知識を浸透させていきたいです。
群馬の山奥ですが、ここから発信していって、ちょっとずつ飼い主さんの知識が向上していって、犬を取り巻く環境をよくしていけたらいいなと思います。